〜厚労省、介護保険の統合・共同運営を支援〜

  厚生労働省は14年度予算に引き続き、来年度予算においても複数の市町村による介護保険の統合・共同運営を支援・促進する方針を固めた模様です。来年4月の介護保険料改定を控え、今後の動向が注目されます。

(日本経済新聞 7月26日朝刊より抜粋)

<支援策の背景とメリット>
 介護保険は各市町村でかかった費用の二割弱を地元の65歳以上の人が負担するしくみであるため、対象住民が少ない自治体は財政基盤が不安定になりがちです。 さらに、ただでさえ介護サービスの利用増加に伴って費用が膨らみ、今度の改定では大半の市町村が65歳以上の保険料を引き上げる公算がささやかれている中、 対象住民の少ない自治体では当然その引き上げ幅も大きくならざるを得ないとされています。
 厚生労働省の統合支援策はこの点に備えてのもので、複数の市町村が制度を統合し、共同運営を行うことによって財政基盤を強化し、保険料の引き上げ幅を圧縮しようとするものです。 さらに、事務処理の効率化による経費節減、同じサービスでも利用者の保険料負担が市町村により異なるという不公平の是正、 1市町村では医師などで構成する介護認定審査会の委員の確保が困難で、要介護認定の判定に支障が出るといったケースの解消など、他の利点も考えられます。

<予算拡大、規制緩和>
 具体的には、来年度予算における統合助成枠の拡大(14年度は5億円)を要求するほか、要介護認定システムを圏域内で統一する費用の一部を補助する、 さらに従来65歳以上の保険料を統合と同時に一本化するよう義務づけていたのを、最長6年まで経過措置として自治体間の保険料格差を認めるよう規制を緩める、 などの方針が打ち出されています。たとえば保険料格差が34市町村で4倍を超える見通しの沖縄県介護保険広域連合では、 当面3段階の保険料が設定されるのことです。
 この促進策によって、来年度には全国11地域(103市町村)での統合実施が見込まれているとのことです。全国で市町村合併が進む現況からみても、介護保険広域化の動きは今後もさらに続きそうです。

 〜介護事業への民間参入、進む〜

|||||グループホーム|||||
 介護各社によるグループホーム増設が活発化しています。具体的には下別表のとおりですが、背景には次の3点が挙げられます。
  ・痴ほう症状のある高齢者は徘徊などの恐れがあり一日中見守る必要があるため、介護負担が大きく、施設入居の希望が多い。
  ・しかし、特別養護老人ホームなど各種介護施設は不足している。
  ・グループホームは定員が最大27人と小規模であるため、建設コストが軽い。
||||| ケアハウス |||||
 東京都杉並区はPFI(民間資金を活用した社会資本整備)方式による公設民営のケアハウス運営事業者として、 教育大手ベネッセコーポレーションの子会社ベネッセケアを選定しました。2004年春の開業予定で、同社が建設後に区に売却し、 賃借によって運営するしくみです。民間企業がPFI方式でケアハウス運営に参入するのは全国初とのことです。