「総合規制改革会議の基本方針発表」について

政府の総合規制改革会議がまとめた基本方針案によると、これまで医療・福祉といったいわゆる「聖域」として
手を付けなかった分野まで改革に着手する方向を示していて、かなり踏み込んだ内容と言えそうです。福祉分野の改革の柱としては、介護施設の運営を民間企業にまで広げることが挙げられます。具体的には、食事や入浴の世話など簡単なサービスを受けられるケアハウスという施設の民間運営を認めようというものです。これまでケアハウスの運営は地方自治体と社会福祉法人に限って認可されていましたが、施設不足が問題視されており、これを解消する動きといえます。こうした規制改革会議の基本方針に対して、厚生労働省も早期の実現に向けて推進する考えを打ちだしています。
総合規制改革会議:内閣設置法に基づき今年4月1日に設置された首相の諮問機関。民間人15人を構成メンバーとし、客観性を持った提言で審議し構造改革を推進する観点から規制のあり方を包括的に審議する機関。
議長は宮内義彦オリックス会長。

公務員の給与制度改革
公務員の給与制度改革(役職による職務給を改め能力給へと移行)につきましては、前号のFax Newsで詳細をお知らせしていますが、民間企業(セイコー)では更にドラスチックな制度改革が行われています。日本型経営の象徴とされてきた退職金制度を廃止しようというものです。退職金はその制度の性格上、会社に在籍した年数が多いほど増える仕組みとなっていますが、成果主義の徹底・中途採用者の待遇改善を目的として同制度を撤廃し、本来もらえるであろう退職金は、定年までの年数で割って年収に上乗せされるということです。既に、松下電気産業も退職金制度か、年収上乗せ制度かの選択権を従業員に与えています。労働市場の流動化など社会的背景が、こうした民間企業の動きに反映していると思われますが、その余波が公務員におよぶことも十分に考えられますので、今後も雇用・就業をめぐる企業の動向に注視する必要があります。